8月25日(前編)
そう言うと2人は去って行ったようだった。


「紗良ちゃん?」

わたしの名前を呼ぶ声はどこまでも優しくて胸が苦しくなる。

「来るの遅くなってごめんね?」

の返事に思いっきり首を横に振った。


水樹くんが謝ることなんて何もない。

「とりあえずもう遅いし帰ろ?」

と肩を抱き寄せて歩き出す。


「ごめんね、水樹くん」


駅から少し離れたところで、やっと口を開くことができた。

「ん?何で?」

「……わたし、もっと賢くなる」

もうあんな人たちに騙されないように。


そしたら水樹くんだって、こうしてわざわざ送ってくれたりしないで済むでしょ?

だから、しっかりしないと。


「いいよ、そのままで」
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