8月25日(前編)
俯きながらトボトボと歩く。

今のわたしは、他人の笑顔を見ることさえつらい。


だけど…本当はどこかで期待していた。

「紗良ちゃん、」そう言って追いかけてきてくれる水樹くんを。

そんなの、わたしのわがままなんだよね。


もう素直に帰ろう、と意気込んだ時だった。

「見ーっけ」

と顔を覗きこんできたのは水樹くん……

のお兄さん。


何でこのタイミングでいつも捕まるの?


「また会ったね?紗良ちゃん」

「……」

「その感じはまた喧嘩?」

「……」

何も答えられない。


というより答える気力がない。

「今から帰るところなんだけど、うち来る?」
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