鬼は妻を狂おしく愛す
また変な嫉妬心が顔をだす、雅空。

明らかに不機嫌な雅空と、楽しそうな美来。
当然部下達は、かなり恐縮する。

【部下の方達は、お休みはないの?】
サンドイッチを食べながら、雅空に聞く美来。
「ないよ。必要ない」
ぶっきらぼうに答えた、雅空。

【どうして?たまにはお休みも必要でしょ?
もしかして、私がデートしたいって言ったから益々お休みなくなったのかな?】
「それもないよ。コイツ等はね、俺と美来を守る為に存在してるの。だから、美来が心配しなくていいよ」
【そう。じゃあ、皆さんにいつもありがとうございますって伝えて?】
「なんで?」
【なんでって、お礼だよ】
そこに犬飼が美来の肩を優しく叩いた。

「俺達に、お礼など必要ありません。
お気持ちだけいただきます」
と言った。
犬飼も美来につくようになって、手話を覚えた為何を言ってるのかわかる。
このままでは雅空が嫉妬でキレそうな為、すかさず二人の間に割って入ったのだ。
【そうですか?】
「はい」
犬飼が美来を安心させるように微笑むと、美来も自然と笑顔になった。
犬飼も容姿が整っていて、どちらかというと雅空より犬飼の方が優しい顔をしている。
なので、犬飼の笑顔は自然と美来を笑顔にするのだ。

「……/////」
犬飼も美来と過ごすようになって、美来の心遣いや優しさに心が奪われていた。
他の部下達もそうだが、見た目はかなりの強面の鬼頭組。美来は、そんな組員達にも普通に接するからだ。
【どうしました?】
「いえ……」
そこに雅空が後ろから美来を抱き締めてきた。
そして真っ黒な雰囲気に包まれながら、美来の後ろから犬飼を鋭く睨み凄んだ。

「お前さぁ、自分の立場わかってるよなぁ……!?」

「え……」

「お前等もだ……」

いつもの冷酷な雅空だ。

「「「も、申し訳ありません!」」」
部下達が、声を揃えて頭を下げた。
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