鬼は妻を狂おしく愛す
部下達のただならぬ姿に、目を丸くする美来。

美来だけは、なぜ部下達がこんな態度をとっているのかわからない。
【どうしたの?みんなどうして頭下げてるの?】
雅空を振り返り聞く美来。
「ううん。何もないよ。
それより、この辺散歩しよ?」
優しく微笑み、頭を撫でながら答えた雅空だった。

手を繋ぎ、ゆっくり歩く二人。
美来は周りの景色を見ていて、そんな美来を雅空は愛おしそうに見つめている。
「綺麗だ……」
「………」
「美来、大好きだよ」
「………」
「大好きで、愛してるんだ…」
「………」
「できることなら、あの屋敷に閉じ込めて誰の目にも触れさせたくない」
「………」
「なんで、犬飼達に気遣いなんかするの?」
「………」
「アイツ等は、ただの空気。
いや、俺と美来を守る為の壁」
「………」
「だから、アイツ等のことなんか考えないで?」
「………」
「俺のことだけ、考えてよ」

美来は景色や周りの公園で遊んでいる人達を見ていて、全く気づかない。
当然、雅空が何を言ってるかなんてわからない。

雅空はひたすら美来を見つめ、思いを吐き出していた。

その時だった。
ブーッブーッと美来のスマホが震えた。
美来は着信音が聞こえない為、スマホの着信がわかるように常に身につけている。
繋いでいた手を離し、スマホを確認する。

友人の亜希からのメールだ。
【美来~久しぶり!
急だけど、明日あいてる?
いつものメンバーで会おうって話になってて、美来も来ない?】
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