鬼は妻を狂おしく愛す
嫉妬まみれの鬼
「美来~、久しぶり」
亜希が大きく手を振り美来に知らせる。手を振り返す美来。
駅前の待ち合わせ場所に駆けていく。

「美来!」
「久しぶり!」
他の友人達も嬉しそうに美来を囲む。
美来も微笑んだ。

【久しぶりだね。美来、結婚したって聞いてびっくりしてたんだよ?
式は?】
【してないの】
【なんで?】
【ちょっと、事情があって】
【そっか。
でも、おめでとう!】
亜希だけは手話ができるので、二人は手話で会話した。それを他の友人にも亜希が伝える。
今ここにいるメンバーは、美来との会話もめんどくさがらず、ちゃんと受け止めてくれる。
美来にとって、とても大切な友人だ。

「「「おめでとう!!」」」

【ありがとう】
微笑みながら、みんなに伝えた美来だった。
【旦那、どんな人?】
亜希のその言葉に、今日みんなに会うことを雅空に話した時のことを思い出していた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「何だ?」
散歩中メールを確認していた美来を、後ろから抱き締めスマホ画面を覗く、雅空。

ビクッとした美来が、
【友達に明日会わないかって、誘われたの。行ってきていい?】
と伝えてきた。

「男は?」
【女の子だけだよ】
「ほんとに?」
【うん。いつものメンバーって書いてあるから、女の子だけ】
「わかった。いいよ。でも、犬飼を連れて行くのと友達に会う場所には見張りつけるからね」
【わかった】
大袈裟だなと思う。
でも雅空は、
「美来はもう俺の女なんだよ。だから、常に誰か傍につけないと命の危険があるんだよ」
と言うのだ。


でも雅空が美来に犬飼や他の部下をつけるのには、他にも理由がある。
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