鬼は妻を狂おしく愛す
鬼の色気は女を惑わす
「いらっしゃいませ、雅空様」
雅空は自分の管轄するクラブに顔を出していた。
ホステスに囲まれる、雅空。

「ん。でも、すぐ帰る」
「え?せっかくですから、ゆっくりされて下さい」
ママの妖子が、雅空の腕を軽く掴み上目遣いに見上げた。
「言ったよな!?
もう……今後、俺に触れるなって!」
雅空はその妖子の手を、パチンとはたいて鋭く睨みつけた。
「ごめんなさい…
じゃあ…せめて、一杯だけでも飲んでいってください!」

「すぐ帰るっつただろ!?
奥田、出るぞ」
「はい」
そう言って、去っていった雅空だった。



そして、後日━━━━━━
雅空は美来とショッピングに出かけていた。
【雅空、これ着てみて?】
「うん」
【素敵】
「そう?」
【雑誌でチェックしてたの。
やっぱり似合う】
「じゃあ…買おうかな?」
大きく頷く美来。

「次はどこ行く?」
【雅空が行きたい所は?】
「美来と一緒なら、どこでもいいよ」
「……/////」
思わず、顔が赤くなる。
「どうしたの?暑い?どっかで、涼もうか?
確かに暑いな、今日」
そう言って、着ていたサマージャケットを脱いだ雅空。
そして下に着ていたシャツのボタンを少し外した。

日差しに照らされて、雅空の汗が光る。
その色っぽい姿に、更に耳まで赤くなる美来。
違う意味で身体が熱くなる。

「美来、大丈夫?まさか、熱中症…!?
とにかく、車に戻ろ?今日はもう帰ろう」
< 28 / 40 >

この作品をシェア

pagetop