鬼は妻を狂おしく愛す
鬼の怒りは死を呼ぶ
「美来…これ…どうした?」
恐ろしい雅空の表情。

今まで見たことがない“鬼”の雅空がいた。

雅空は本来、美来の前では優しく穏やかな紳士でいたいと思って過ごしている。
美来が誰よりも大切で、狂おしい程に愛しているから。
美来に嫌われるようなことは一切しない。

その雅空が、抑えられない程の怒りに包まれている。

美来は身体が、ガクガク震えていた。

「美来、言って?
お願い、これ以上は抑えられない」
美来は震える手を必死で動かし、雅空に伝えた。

【今日着てたジャケットのポケットから出てきた】

「ジャケット?
…………あー、アイツか……!!!
じゃあ…まさかその為に?」
雅空は一人、妙に納得していた。
「………」

「美来、これは全くのデタラメだよ!
ほんとだよ?
今から証明してあげるね!」
怒りの表情から一転、いつものように優しく微笑み言った雅空だった。

着替えた雅空は、美来を抱き上げ外に出た。
「犬飼、車を出せ!」
「はい」
そしてあるホテルに向かった。

最上階のスイートルームに向かい、美来を寝かせた。
「美来、今からこれがデタラメな嘘だって証明するから、少しここで待ってて」
妖子の書いたメッセージカードを見せて言った雅空に、美来はゆっくり頷いた。

そして数分後、妖子がスイートルームにやってきた。
「雅空様!こんな素敵なお部屋に呼んでいただけるなんて光栄ですわ!」
「お前に今から、いいもの見せてやる」
「え///!?なんですか?」

「絶対に、何があっても、俺がいいっつうまでここを出るなよ!」
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