鬼は妻を狂おしく愛す
そう言って、隣のベットルームに妖子を誘う。
「まさか、雅空様と////!?」

でもそこには美来が横たわっていた。

「え……なん、で…!?」
美来も妖子の存在にビクッと驚き、起き上がる。
雅空は美来の隣のベット脇に腰かけ、美来の髪の毛を一房掴みキスをした。

【どうして!?】
美来の手話に、雅空は言い放った。

「美来…今から熱い舌や優しい手が、誰を愛する為のモノか、慈しむような愛撫が、誰の為のモノか教えてあげる。
ついでに、コイツにも教えてあげようよ!
俺の声を聞かせてあげられないけど、美来の甘い声をコイツに聞かせて、俺の美来への愛情がどれ程のモノかわからせてあげよう!」

美来は目を丸くして、驚いている。
頭を横に何度も振り、顔を赤くする。

「ごめんね、今だけは拒否権ないよ!
俺はね、美来がいれば何もいらない。
美来が笑ってくれるなら、幸せでいてくれるなら何でもする。
美来がいないと、息もできない。
毎日美来のことばかり考えて、いつでも触れたくて堪らないんだよ!
…………だからね、かなり頭にキテる。
このデタラメな言葉の嘘。
この偽りのマッチ。
ここのホテル、行ったことないし存在自体知らない。
てか、俺は女を抱くならホテルは行かないよ。
今まではマンションで抱いてたんだよ。
あ、でも“あの”マンションじゃなくて、女を抱く為だけのマンションがあるんだ」

美来はひたすら雅空の口元を見つめ、言葉を必死に読み取っていた。

「だからね、美来、抱かせて?
今、ここで!
コイツが見てる前で!」
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