天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
そう、今こいつは初めて惚れた女に騙され、会社の機密を漏らされ窮地にさらされた後だ。
その肝心の女も行方知れず。完全に騙されたのだ。
株価も暴落し、それをなんとかこいつの手腕で持ち直し少し前にはついに祥吾は社長に就任した。
私情は挟めず少し落ち着いた後の、友人としての愚痴を聞く役割を俺は担っている。
まあ俺としてはこいつをこんな風にした女など、探し出して訴えればいいと思うほど怒りを覚えているが、祥吾はまだ彼女を思う気持ちがあるようで、訴えるという上層部をなんとか説得して見せた。
「ほら、少しは食えよ」
目の前に胃に優しい中華粥を置けばそれをジッと見つめた後、ゆっくりと口に粥を運んだ。
「龍は言っていたのにな。女には気を付けろって」
ぼそりと言った祥吾のセリフに俺はズキっと胸が痛む気がした。
その言葉に不意に佐知の柔らかな顔が浮かぶ。ずっと祥吾にはそう言ってきたが、今なら祥吾の気持ちがわかる。