天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
「なんだよ?」
ムッとして言い返せば、祥吾が大きく息を吐いた。
「俺さお前と付き合い長いけど、そんなに感情が豊かなお前初めて見た。その子はすごいな」
「はあ?」
意味が解らず聞き返せば、祥吾は目の前の粥をすべて流し込んだ。
「俺はもう大丈夫だよ。お前は自分の幸せを考えろよ」
「だから俺じゃああ佐知を幸せに……」
「龍! いい加減にしろ。お前は幸せになっていいんだよ。そして幸せは相手が決めることだ。お前は自分が怖いんだよ。彼女に裏切られるのが。傷つきたくなくて自分を守っているんだよ」
その言葉に俺は何も言えず、ギュッと唇を噛んだ。佐知を幸せにしてやれない。
俺はそんな資格はない。それは確かに言い訳かもしれない。
「じゃあ、聞くけどその佐知ちゃん、俺に紹介しろよ。俺が幸せにするから」
「バカなこと言うな! 佐知は俺の……」
そこまで言って俺は、クシャリと自分の髪を掻き揚げた。なんだ。俺はどうあがいてももう佐知を手放す事なんてできないんじゃないか。
「俺みたいにきっぱり振られたら、その時は俺が慰めてやる」
祥吾の優しさに俺は苦笑して頷く。
「ああ、その時は頼む」
そこでようやく遅くなっていることに気づきスマホを出すと、こんな時に限って充電が切れている。