天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

「まあ、いろいろあって結婚したことになっているから……」
俺の言葉に今度は祥吾が間髪入れず、口を開く。

「結婚だって!?」
そこで簡単に初めて会った日の事を話して聞かせると、祥吾は驚きを隠せないと言った表情で話を聞いていた。

「魔が差したんだよ。その時は。確かに俺がそんなことをするのを驚くのはわかるけど」

「驚きすぎて何も言えないわ」
確かに昔から俺を知っているこいつならば、そういうのは納得できる。

「でも、もうすぐ別れる。俺じゃあ佐知を幸せにできない」
静かに言った俺に、祥吾は小さくため息を付いた。

「どうしてだよ。親父さんのことを気にしてるのか?」
その的確な指摘に、俺はドキッとしてジッと言葉を思案する。

「俺にもあの血が流れているんだ。世の中全て金で解決できて、愛人を作って、そのくせ世間にはいい顔して。あんな最低な……」
そこまで言ってギュッと手を握りしめた俺に、祥吾がクスリと笑い声をあげた。
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