天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

「ご主人でいらっしゃいますか? 私の不注意で奥様に怪我をさせてしまい誠に申し訳ありませんでした」

その言葉に、龍一郎さんは小さく息を吐いた。

「いえ」

静かにそれだけを言った彼に、私は慌てて声を掛ける。

「違うの、私がぼんやりしていたんです。それに龍一郎さんの代わりに病院とかで付き添ってくださったの」
つい、苛立ちをぶつけるように言ってしまった私は慌てて口を押えた。
その言葉にハッとしたように龍一郎さんが、自分の手をギュッとにぎりしめたのが分かった。

「妻が大変お世話になりました」
静かに言って頭を下げた龍一郎さんに、慌てて望月先生が口を開く。

「いえ、こちらの不注意です。きちんとお詫びをきちんとしたかったので」
柔らかに笑った望月先生をようやくまともに見て、私は声を掛ける。
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