天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

「先生、その服装、今日お休みですよね? わざわざよかったのに」
私の言葉に静かに先生は首を振った。

「とても優しいご主人ですね。これ以上いたらお邪魔になりそうなので。それでは僕はこれで失礼します。会計も必要ありませんのでこのままお帰り下さいね」

最後は少しお茶目に笑うと、望月先生は帰っていた。

いきなり二人になってしまい、私は何を話していいかわからず俯いていた。
無言のままゆっくりと車いすが動き出して、病院の外へとでて駐車場へと向かう。

「龍一郎さん、仕事は? 私なら大丈夫だから……それに」

「嫌だ」

「え?」

急に聞こえたその声に、私は驚いて問いかけた。何が嫌だというのだろう。
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