天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

「祥吾に言われたんだよ。お前は逃げてるって。それで佐知ときちんと向き合おうって……」
龍一郎さんが過去いろいろ傷つき戦っていたにもかかわらず、それでも前を向こうと思ってくれた。

「やっぱり優しい」
私の言葉に彼は驚いたように私を見る。

「どうしてそうなるんだ?」

「だって、私のことを幸せにしたいそう思ってくれたんですよね」

「それはもちろん……」
何を言っているのかわからないと言った表情の龍一郎さんの頬に、そっと私は触れる。

「私の幸せは私が決めたいです」

「え?」
真っすぐに真顔で見つけた後、私は精一杯の気持ちを込めて彼に笑顔を向ける。

「私は龍一郎さんといることが幸せなんです。だからこれからもずっと一緒にいてください」
「佐知……」
ようやく私の言いたいことの意味を理解したようで、私をぎゅっと抱きしめる。

「ありがとう……」
呟くように言った龍一郎さんの言葉は少し震えていた。しばらく二人で抱きあたったあと、額を付けて笑いあう。
柔らかく、甘い優しいキスをされ、初めて本当の龍一郎さんとキスをしたような気がした。
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