天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

「初めての日、俺は嘘をついた。佐知から無理やり結婚を迫られたと言ったが、俺にもメリットがあって、佐知を家に連れて帰ってきた。佐知を利用した」
沈痛な面持ちで頭を下げる彼を、私は慌てて制止する。

「やめてください! 私の母が電話をしてきたのも、頼んだのも本当です。龍一郎さんにメリットがあったなら、私はほっとします。私だけの都合じゃなかったって」
その通りだ。龍一郎さんにも理由があって付き合ってくれていたのなら、その方が気が楽だ。
すべて私が得をしているだけの状況は心苦しものがあった。

「ありがとう」
私の言葉に心底ほっとした表情をした龍一郎さんに、私は少し考えてから尋ねる。

「それは詮索するなってことに関係してますか?」
静かに問いかけた私に、彼は少し思案したあとゆっくりと口を開いた。
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