天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
何分ぐらい待ったのだろうか? かなり待ったような気がしたが、ほんの数分かもしれない。
静かに障子が開けられれば、私でも経済紙やテレビでみたことがある男性が入ってきた。
斎藤廉太郎氏、三洋カンパニーの現社長であり、龍一郎さんの血のつながった父親。
映像よりも実物のほうが貫禄があり、一気に空気が張りつめる。
六十代には見えない、精力的な瞳は少し龍一郎さんに似ているかもしれない。
そっと龍一郎さんを見れば、まっすぐに挑むような視線を向けていて、私はその覚悟を感じる。
何も言うことなく、その人と元永さんは私たちの前に座ると、先ほどの女性がお茶を綺麗な所作で置くと、すぐに下がっていった。
どちらも口を開くことなく、しばらく睨み合うように見ていたがフッと斎藤氏が息を吐いた。
「頑固なところは、晴香にそっくりだな」
「なっ!」
その言葉に、龍一郎さんが怒りで震えるのがわかった。