天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

「龍一郎、私も仕事の関係でいいから、たまには顔を見せてくれるか?」
それはやはり父親の顔で、龍一郎さんをみるまなざしは優しい。
まだきっと龍一郎さんの心中は複雑だろう。それでも龍一郎さんはまっすぐとお父様を見据えた。

「わかりました」
静かな落ち着いた声音の龍一郎さんに、お父様はよく似た笑顔を浮かべた。

怒涛の時間を過ごし、私たちは元居た場所へと送ってもらうと、元永さんに別れを告げた。

「龍一郎様、ありがとございました」

「こちらこそ、色々失礼をいたしました」
穏やかな表情の龍一郎さんに、私は安堵する。

元永さんを乗せた車が見えなくなると、私たちはどちらからともなく大きく息を吐いた。
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