天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

二人で席に付き手を合わせて、食事を始めた。

「うん美味しい」
チキンとチーズだろうか、とても濃厚な味わいの一口サイズの前菜を頂いた後、私は改めて龍一郎さんをみた。
そんな私に龍一郎さんは少し考えるような表情を浮かべた後、箸を置いて私を見つめる。

「佐知」
静かに名前を呼ばれ、なぜかドクンと胸が音を立てる。何を言われるかわからず少し身構えてしまうも、彼は複雑な表情のまま口を開いた。

「楽しい?」
その問いに少し驚いてポカンとしてしまうも、私はコクコクと首を振る。

「楽しいです」
ニコリと笑えば龍一郎さんも笑顔を浮かべてくれた。

「よかった。こんな性格だから素直に誘えなくて、無理やり連れてきたみたいで悪かった」
きちんと心の内を言葉にしてくれた彼に、私は大きく首を振る。

「わかってます。大丈夫です」
分かりやすい優しさではないが、口先だけの人よりよっぽど信用できる。一緒にいて気づいた本当に誠実な人だということを。
その後、焼き物、揚げ物、メインと次々運ばれてくる料理を私は幸せな気持ちで美味しくいただいた。
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