天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
「佐知はお酒を飲ましたらいけなかったな」
初めての日を思い出したのか、苦笑した龍一郎さんに甘えたように手を伸ばす。
「抱っこ」
その言葉に驚いたように、龍一郎さんは「佐知?」と私を呼ぶ。
その声すら甘く聞こえて、私は自らギュッと龍一郎さんの首に抱き着いた。
「初めの日、覚えてないんです」
さっきのキスの続きが欲しくてしかたがない。
こんなに誰かに甘えたいとか、触れたいとか思ったのは初めてだ。
自らねだるように触れるだけのキスをする。これが酔っていても限界だったがそれがスイッチのように、龍一郎さんの瞳が熱を孕んだものに変わる。
「そんなキスじゃまた覚えてないんじゃないか?」
不敵な笑みを浮かべられ、ゾクリと背中が粟立つ。冷徹だと思っていた人のこんな顔を見られるなんて思っていなかった。
もっともっといろいろな表情を見せて。その思いを込めて、私はアーモンド色の綺麗な瞳をジッと見つめた。