なぜ婚約者なのか説明書の提出を求む

許嫁 加納麗花

 玲於奈さんが出掛けている隙に休憩室に行ってみた。
 自販機のココアを飲んで一息ついていたら……。

 ハイヒールの音がカツカツ聴こえて……。   
 突然言われた……。

「あなた玲於奈の何なのよ?」

「えっ? 何って言われても……」

「私は加納麗花。玲於奈の許嫁よ」

「許嫁? そうなんですか。お綺麗だし、お似合いですね」

「馬鹿にしてるの?」

「私の今の発言の何処が馬鹿にしてるんですか?」

「どうして玲於奈の専属秘書なのよ? どういう関係なのよ?」

「どういうって言われましても……」

「その綺麗な顔がムカつくのよ」

「私なんかより、貴方の方が断然お綺麗だと思いますけど?」

「当たり前でしょう。私の方が玲於奈に相応しいのよ」

「そうですね。私もそう思います」

「その態度がムカつくのよ。目障りだから、貴方から会社も専属秘書も辞めるって玲於奈に言ってよ」

「それは構いませんけど……」

「玲於奈が手放す訳ないって自信があるの?」

「そんな物ありませんよ」

「貴方見てるとイライラするのよ」

「それは申し訳ありません。秘書課にも顔を出さないようにしますから」

「辞めるのよね? いつ辞めるの?」


< 60 / 188 >

この作品をシェア

pagetop