なぜ婚約者なのか説明書の提出を求む
その時……。
「悪いけど茉帆は辞めさせないよ」

「れ、玲於奈……」

「あのさあ。もう幼稚園児じゃないんだから、その玲於奈って呼び方止めてくれるかな?」

「だって……。この女が……」

「茉帆が君に何か言ったとでも?」

「私が綺麗だから目障りだって。会社を辞めろって言うのよ……」

「へえ。茉帆を陥れたいのか?」

「な、何でよ」

「茉帆は自分が綺麗だという自覚はまるで無いんだよ。困るよね。天然美人なのに」

「天然? そんなにボーッとしてるの? そんな秘書直ぐに辞めさせてよ」

「天然って言うのは、顔の造作に一円も掛けてないって意味だよ」

「どういう事?」

「君のその綺麗な顔には、相当お金掛かってるよね?」

「どういう意味よ……」

「言ってもいいのか? 整形美人だって」

「そ、そんな訳ないじゃない……」

「僕は幼稚園から君を知ってる。なんなら持って来ようか? 幼稚園の頃の君の写真」

「や、止めてよ」

「大学生の時、久しぶりに現れた君はまるで別人だったな。外国にでも行って整形したのか?」

「そんなことしてない……」

「父親の財力に物を言わせれば簡単だよな。銀行の頭取の娘だって言いふらしてるらしいな?」

「そ、それは……」

「まあ、金融関係ではあるな? 高い利息でお金に困ってる人達から巻き上げるんだからな」

「止めてよ」

「その法外な利息で君は綺麗になった訳だ」

「違うわよ……」



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