異世界転移したら、そこで強力な治癒術師になってました。

「ユウ様、お話があります。私に時間を下さいませんか?」

そうベイルさんに声をかけられたのは、戦の処理もだいぶ済んで、王都に帰還してから一週間経った頃だった。

砦から戻る時には、とっても惜しまれつつも沢山の感謝をもらって、人々の笑顔に見送られて帰還した。

その後の私は無事に学園生活の残りを過ごすべく、普通の学生生活を送っていた。

まぁ、周囲からはかなり尊敬の眼差しとメルバへの視線が凄いことにはなっているものの、なんとか生活していた。

そんな時にかけられたベイルさんからの誘いは、断ることもないし、私も話さなければいけないこともあり、承諾した。

「はい、お聞きします。いつにしますか?」

そんな私の返事に、ベイルさんはキュッと一度唇を引き結んだ後に言った。

「今夜、お迎えに参りますので、これを着て待っていてください」

差し出されたのは、箱が三つ。

なんだろう、これはミレイド家へ行った日のような感じだが。

「これは、私自身からあなたへの贈り物です。受け取ってください」

いつになく緊張している、珍しいベイルさんの様子に私は受け取って、言った。

「分かりました、これを身につけてお待ちしていますね」

そうして、受け取った箱をもってミレイド家へ帰宅してから開いた箱には、桜色の可愛らしいドレスにそれに合う靴とグローブ、ヘッドドレスが収められていた。
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