地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「何でそこで不満そうな顔になるんだよ? ほら、これ食ってまたバカみたいに幸せそうな笑顔で飯食えよ」

 なんて失礼な言い方をするんだと思って隣の久保くんを見る。

 彼はいつの間にかあたしのプリンを手に持ってスプーンで一口分すくっていたところだった。


「あたしのプリン!」

「ほら、あーん」

 そう言ってスプーンを差し出してくる久保くん。

 食べられるわけじゃないことに安堵しつつも、勝手に取っておいて食べろと強要されることに少し腹が立った。


 それにこの間双子の料理を食べてしまった後に奏から叱られてしまったんだ。

 異性に“あーん”って言われたらそのまま食べちゃダメだって。

 恥じらいを持てとか言われちゃったんだけど……正直恥ずかしがるところなのかはよく分からなかった。


 まあでも、奏がダメだって言うってことは良くないんだろう。


 そう思ったから、目の前に出された生クリームのついたプリンを口に入れるのを我慢していたんだけど……。


「何? 食わねぇの? 仕方ねぇな……」

 そう言って久保くんはそのスプーンを自分の口に運ぼうとする。


 !! 食べられちゃう!?


 自分のプリンが食べられてしまうと思ったらもう体が動いていた。

 奏の言いつけなんて頭からポーンと飛んで行ってしまう。
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