地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「あの、さ……星宮さん、こんなこと本当は言いたくないんだけど……」
「うん、分かってる」
気まずそうに話し出した彼女の言葉をあたしは遮った。
言いたいことは予想出来る。
あたしもしのぶの友達にそんなこと言わせたくない。
「しばらくさ、しのぶと一緒に行動してくれない? あたしといるとちょっと大変だから」
あたしはそう言って気まずさを誤魔化すように笑った。
「星宮さん……」
心配そうな表情に、渡辺さんも良い子だなって思う。
「大丈夫だよ。それに落ち着いたらまた仲良くさせてもらうから!」
そう、大丈夫。
あたしには奏がいるから。
色々と不安はあるけれど、確かなものが心にあるから……だから、大丈夫。
「……星宮さんは強いね」
「そんなことないよ。嫌になっちゃうくらい弱いよ、あたしは」
そう、奏がいないとすぐに押しつぶされちゃうくらい弱い。
でも、渡辺さんは悲しげだけど優しい表情で話した。
「ドラマか何かだったかな、聞いたことあるんだけど……」
「ん?」
「本当に強い人って、自分の弱さを知ってる人なんだって。……星宮さんは強いよ」
「そう? それならちょっと嬉しいかな?」
あたしがそうはにかむと、丁度先生が教室に入ってきて渡辺さんも自分の席に戻った。