地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

「あの、さ……星宮さん、こんなこと本当は言いたくないんだけど……」

「うん、分かってる」

 気まずそうに話し出した彼女の言葉をあたしは遮った。

 言いたいことは予想出来る。

 あたしもしのぶの友達にそんなこと言わせたくない。


「しばらくさ、しのぶと一緒に行動してくれない? あたしといるとちょっと大変だから」

 あたしはそう言って気まずさを誤魔化すように笑った。

「星宮さん……」

 心配そうな表情に、渡辺さんも良い子だなって思う。


「大丈夫だよ。それに落ち着いたらまた仲良くさせてもらうから!」

 そう、大丈夫。
 あたしには奏がいるから。


 色々と不安はあるけれど、確かなものが心にあるから……だから、大丈夫。


「……星宮さんは強いね」

「そんなことないよ。嫌になっちゃうくらい弱いよ、あたしは」

 そう、奏がいないとすぐに押しつぶされちゃうくらい弱い。


 でも、渡辺さんは悲しげだけど優しい表情で話した。

「ドラマか何かだったかな、聞いたことあるんだけど……」

「ん?」

「本当に強い人って、自分の弱さを知ってる人なんだって。……星宮さんは強いよ」

「そう? それならちょっと嬉しいかな?」

 あたしがそうはにかむと、丁度先生が教室に入ってきて渡辺さんも自分の席に戻った。
< 108 / 878 >

この作品をシェア

pagetop