地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
しのぶは午後いっぱい保健室で休んでいた。
帰るときになって渡辺さん達がしのぶの荷物をまとめているのを見て、あたしは机の中のものを全部カバンに突っ込んでから急いで保健室へ向かう。
しのぶにもちゃんと言っておかないと。
保健室は職員室の近くだから迷うことはない。
あたしはいつもより重い荷物を持ち、人の波の隙間を縫って最速で保健室へ到着した。
保健室の先生はいないみたいだったので、コンコン、と控えめにノックしてからドアを開ける。
カーテンのかかっているベッドは一つだけだったからそこにしのぶが寝てるんだろう。
あたしは近付いてそっとカーテンを開けた。
「ん? ……美来?」
「あ、ごめん。起こしちゃった?」
「ううん、今起きたところ」
そう言ってしのぶはベッドの中で伸びをした。
顔色はずいぶんと良くなっている。
やっぱり休ませて正解だった。
「いま、渡辺さん達がしのぶのカバン持ってくるから」
「え? もう放課後なの!?」
放課後だとは思わなかったのか、しのぶは飛び起きて驚いた。
うん、元気なってるみたいで良かった。
「二時間ずっと寝てたんだ……。美来、大丈夫だった?」
逆にあたしを心配して見上げてくる。
やっぱりしのぶはあたしを心配して保健室で休むの遠慮してたんだな、と思った。