地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「奏ー?」

 教室のドアのところから呼ぶと、最初に返ってきたのは奏の声じゃなかった。


「お、美来じゃん」
「やっぱり来たな。待ってて良かったぜ」

 奏の近くにいた赤と青の双子が反応して声を上げる。

 思わず数歩後退すると、しのぶの驚いた顔が見えた。


 あ、そうなるよね。
 昨日他の校舎で何があったか詳しくは話していなかったし。


 双子は奏と一緒にあたし達の所に向かってくる。


 これ、逃げるのはダメだよね……?


 しのぶを放って逃げるわけにもいかず。
 それに多分逃げても追いかけられそうな気がして。

 結局引き攣った笑顔を浮かべながら待つしかなかった。


「朝から会いに行きたかったけどさー。明人が寝坊しちゃってな」
「仕方ねぇだろ? それに朝行ってもちょっと話したら先公来るからって言ったの勇人だろ?」


 そう言いながら当然のようにあたしの両隣に立つ勇人くんと明人くん。

 目の前に来た奏はどう言うことだ? と目が語っている。


「何で二人が美来のこと知ってるんだ?」

 言葉でもハッキリと疑問を口にした奏。
 奏も結構図太い性格してるよね。

 明らかに不良なこの二人に普通に話しかけるなんて。
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