地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「んー? 昨日西校舎で迷ってたの案内してやったんだよ」
「そのときかなちゃんみたいに俺達のこと聞き分けられるか試したんだよ」

 明人くん勇人くんの順で話す。

 その言葉を聞いて、奏はもう理解したみたいだ。

 試した結果、聞き分けられちゃったってことに。


 あたしを見る目が『何でそこで聞き分けられないって嘘つかなかったんだ!?』と言っている。

 だからあたしも『だって仕方ないでしょ!? 嘘ついたりとか出来る状況じゃなかったんだから!』と目で語った。


 ぐるぐる目を回した状態で、後ろから拘束するかのように抱きしめられて、早く離してほしかったこともあって……。

 当てたら気に入られてしまうかもなんて考える余裕なかったよ!


 すると、あたしを非難していた眼差しが閉じられ眉間にしわが寄る。

 困った状態だけれどこうなったらもう仕方がないか。

 という諦めの表情だ。


 アイコンタクト、というかむしろ目で会話している状態のあたし達。

 明人くんと勇人くんはそれを面白そうに眺めている。


 そして蚊帳の外状態のしのぶは……。


「とりあえず、食堂いかない? 目立つし……」

 奏に寄り添うように近付いて昨日のあたしと同じようなセリフを言った。
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