地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 次に香梨奈さんの意に沿わないことをしたら、きっともっと深い傷をしのぶに負わせる。

 小さな刃だって、急所に刺せば大事になるんだ。

 これ以上しのぶを傷つけるようなことは出来ない。


 ああ……せめて目的地では逃げるチャンスがあればいいけど……。

 後悔と共に可能性の低い期待を抱きながら、あたしは小走りになった香梨奈さんに付いて行った。

***

 向かった先は北校舎裏のテニスコートなどがある方。
 裏門近くにある倉庫に連れて来られた。

 この倉庫はグラウンドやテニスコートで使うものが収められているから、普段ならそれなりに人が来る。

 でもハロウィンパーティーの準備をしている最中の今は、こっちの方に人が来ることはない。


「入って」

 言われるままに中に入る。

 前に連れて行かれた倉庫よりも物が多くて、ここで大立ち回りするのは無理そうだと思った。

 そんな人が通れるスペースが少ない中に、一人の男子生徒を見つける。


「……え?」

 その人を認識して、どうして? と思う。

 どうしてこの人がここにいるの?

 たまたまここにいたというわけじゃないだろう。

 本来ならこの人も仮装のために着替えをしているはずで……。


「……稲垣、さん?」

 いるはずがない人が、いた。
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