望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~

「柚葉さん、お願い」
必死すぎる彼に、私は静かに頷いた。

何が何だかわからないが、きっと絢美さんも被害者なのだろう。何かが露呈し、離婚を突きつけられていたのだから。

私だって、自分の気持ちに翻弄されながらも、一緒にいると自分で決めたのだ。
このまま何も話さないままではいけない気がする。


高級そうなエレベーターを降り、大きな扉に望月君はキーをかざす。

そこは広い大理石が敷き詰められたエントランス、そしてそれから続く長い廊下。

「入って」
あまりにもの光景に緊張しつつ、靴を脱ぐも動けずにいると、不意に抱きしめられた。

「ちょっと! 話が先だよ」
私のその抗議に望月君は耳を傾けることなく、私をそのまま抱き上げてリビングに入り、大きなソファーへとそっと下ろす。

「ごめん。柚葉さん」
ギュッと抱きしめたまま、私に謝罪する彼の手が震えている気がして、私はゆっくりと口を開く。
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