望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~

「あれ? 櫻町先輩?」
その中に、昔小児科にいた看護師の河野美鶴ちゃんの姿を見つけた。

「こんばんは」
仕事用のポーカーフェイスで言えば、美鶴ちゃんがチラリと自分の隣を見た。
その横にいた、仕事帰りだと思えないほど、完ぺきなメイクにふんわりとした花柄スカートを履いた女の子の姿があり、明らかにムッとした表情を浮かべているのが分かった。

「望月先生、どうしたんですか?」
それはどうして私を連れてきたかという、明らかな意味だろうが、チラリとみれば望月先生は意味が解らないと言った表情で、「何が?」とニコリと笑った。

そこで私は悟った。
この人は女避けの意味も込めて、私を連れてきたと。

「櫻町さんとどうして一緒だったんですか?」
今度はごまかしようのない言い方で、彼女は尋ねる。

「ああ、柚葉さんと帰りが同じだったから、一緒が楽しいかなと思って」
柚葉さんって言った?
一度も呼ばれたことのない呼び名に、私は唖然としてしまう。
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