望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~

「ねえ、柚葉さん。水族館いきましょうよ」

「え?」
帰ろうとしていた私だったが、意外な言葉に望月君を見た。

確かにここから歩いていける距離に水族館がある。どうして私が彼と?
そうは思うも、すでに手を引かれて私は歩き出していた。

土曜日の水族館は家族連れやカップルも多く、賑わっていた。
目の前に表れた水槽に私は嬉しくなる。私は水族館が大好きだ。しかし、大人の女が一人でくるようなところでもないし、なかなか行けずにいた。

私はつい望月君がいることを忘れて、次々と水槽を眺める。
大きな水槽の中を優雅に泳ぐ魚の群れに目を奪われていると、不意に後ろから声が聞こえた。

「柚葉さんほら」
私の手の平に、さっきまでみていたシロイルカのぬいぐるみを望月君が乗せる。
「うわー可愛い」
つい声を上げてしまった私に、彼がクスクスと笑う。
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