望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~
いつも柔らかで、誰にでも優しいイメージしかない。だから、病院のアイドルと呼ばれているのだ。
もちろん「わかりました」そう言ってくれるものだと思っていた私は、ジッと彼を見据えてしまう。
しかし、そんな私に構うことなく、彼は言葉を続ける。
「千堂さんでしたっけ? 櫻町さんのお相手。気になっちゃうな。どんな人か」
「え? そんな……」
狼狽している私に、更に望月先生はニコリとする。
「あっ、僕明日休みなので、今日の夜飲み会なんですよね。話しちゃうかも」
「はあ?」
ついここが職場だということも忘れ声が出てしまった。
しかし、望月先生は相変わらずの可愛らしい顔で、クスクスと笑っていた。
何かを言わなければと言葉を探していた私だったが、不意に真面目な表情をした彼にハッとする。
「さあ仕事ですね。始めましょうか」
すでにドクターの顔になっていた彼に、私は内心動揺しつつも患者さんを受け入れるために廊下へとでた。