望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~
「櫻町?」
目の前に恭子がいたことも忘れて、私は声を出していた。
「ごめん」
「気持ち悪いわよ。何百面相してるのよ」
訝し気な表情の恭子に、曖昧な笑みを浮かべた。
「あっ」
そこで恭子が声を上げる。その理由はすぐに分かった。
さっきまで私にメッセージを送っていた彼が歩いていた。
「やっぱりあの二人いいわよね」
隣には今日執刀したのだろう。外科の早乙女先生がいて、熱心に二人で話をしている。
それを周りの人がちらちらと視線を送っていた。
「目立つ二人よね」
「そうね、どっちが……」
考えていることがわかり、私は慌てて恭子の言葉に口をはさむ。
「やめて」
「だって、本当にあれだけ整っていて医者とか。ハイスペックすぎ。それにあの全く違うタイプがいいわ」
相変わらず表情を変えず淡々と話す恭子に、私は何かを言うのを諦める。