望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~

あまりにもその光景が様になりすぎて、私は慌てて視線を料理に向けた。

「本当にお酒弱くないんだね」
彼はその問いには答える気がなさそうに、料理を口に運ぶのを見て私は質問を変えた。

「じゃああの夜、どうして酔ったふりをしたの?」

そのセリフに、望月君の動きがピタリと止まった。
そこで私もハッとする。どういう答えを言われても自分自身が困惑する気がした。

「ごめん、なんでもない。望月君もお肉食べてみて」
まだ手を付けていない方の、肉とフォアグラを切り分けていた私に声が降って来る。

「あの日は酔ってませんよ」

バッと顔を上げれば、まっすぐな瞳とぶつかりドキドキと胸が煩い。
この間の千堂さんの時とは違う、ザワザワとする自分の心が怖くなる。
どういう意味かを考えようとするも、その瞳に射抜かれ何も考えられずにいた。

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