望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~


肉を切ったままの姿勢で、ジッと望月君と見つめ合う。
どれぐらいの時間だったかはわからない。
きっとほんの数秒だと思う。先に視線を外して口を開いたのは望月君だった。

「柚葉さん、肉くれるんですよね?」
なぜかそれは病院で話すときの、作られたような言葉に聞こえるも、私は小さく頷き彼の前へと肉を置いた。

そのまま、なんとなくそわそわした気持ちでデザートを食べ終える。

望月君に促され席を立ち、そっとまた腰に手をまわされるのを今度は咄嗟に距離をとってしまった。

これでは意識しているのがまるわかりだ。初めの日などまったく意識をしていなかったから、一緒のベッドで眠ってもなにも思わなかったのに。
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