望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~

「ごめん……」
何の涙かわからないが、止まらなくなってしまう。ずっと張りつめていたもが身体の中から崩れ落ちるような気がした。

「ずっと一生懸命でしたよね。柚葉さん。いつも患者さんのことばかり考えていて」
私を宥めるように少しいつものからかうような口調の中にも、優しが見える。

「いい看護師さんですよ。結衣君だってずっと会いたいって」

「やめて。そんなことを言ってもらえる資格なんてない。私なんて、私なんて」
止めることができない涙に、そっと何かが触れた。それが望月君の指だと気づき私は顔を上げた。
「もう、泣かないで。柚葉さんは何も悪くない」

どうしてそんなことを言うのかわからない。でも誰かにこの言葉を言って欲しかったのかもしれない。
ひとしきり泣いて、少しすっきりして私は口を開いた。
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