きみと真夜中をぬけて





たどり着いたのは、家から歩いて5分ほどのところにある公園だった。そこが、私が今も変わらず夜を過ごしている場所。



「お、来た。やっほー好きな人」




ベンチに座る男は、私の姿をとらえると右手を挙げて微笑んだ。黒髪が、白い肌によく映えていた。




「その絡み方いつになったら飽きるの」

「飽きるとかじゃねえんだわ。恋心を噛みしめてんの」

「随分と長持ちするんですね」

「ラブは永遠ぞ?」



日之出 綺。


何度聞いても、何度その漢字を見ても、美しいと思う。


毎晩のように公園で落ち合い、近況や日常を交わし合う健全でラブな関係。

綺は大学生になり、私は高校3年生をやり直している。


取り囲む環境はまるで違うけれど、この時間だけは、1年前から変わらず続けていることだった。



< 260 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop