婚約破棄は構いませんが、後ろ盾をなくした皇太子がどうなるかご存知? ~を、ループする~【短編】
 第二王子に不満を持つ者が、アンドリューを担ぎ上げて政変を起こすようなことがあっては行けないと見張りが付いていた。その見張り役から話を聞いたという下働きの者から情報を得たと、侍女たちが報告してくれるのだ。
 そのころの私は本当にアンドリューには全く興味がなくて、日々、第二王子の必要以上のスキンシップからどう逃れようか考えるのに必死だった。いや、ちょっと、結婚前の男女がダンス以外で体を密着させるなんてありえないことなんですよ?
 とにかくだ。
 ある日事件が起きた。
 今まで散々馬鹿にしてきた庶民からの見下した発言に切れたアンドリューがミリアをひどく殴った。
 何時間も、何時間もミリアを殴り続けた。
「お前のせいだ!お前がいなきゃ、俺は今頃王子のままでいられたんだ!お前が俺の人生を狂わせた!」
 ミリアが床に倒れこみ、ピクリとも動かなくなっても、アンドリューは殴り続けた。
 その何時間もの間、誰もアンドリューを止めなかった。
 王室から派遣されていた「見張り」もだ。
 ミリアの葬儀に参列した者たちは、あまりにもひどいミリアの姿に怒りがこみ上げた。
 そして、少しずつたまっていた庶民の不満が、これをきっかけに爆発したのだ。
 何故ミリアはあんなむごい殺され方をしなければならなかったのか。
 何故それを見ていた者はミリアを助けようとしなかったのか。
 ミリアは庶民だから殺された。
 ミリアは庶民だから見殺しにされた。
 貴族が、王家は、庶民の命など犬猫以下にしか思ってない。
 日照りが続いて、3年もの間不作だった。
 人々の生活は非常に苦しい物だった……そこにきて、元王子による庶民の惨殺。
 センセーショナルな事件は、すぐに広がり、クーデター……いや、革命が起きた。
 いいや、革命が……起きている。

 窮鼠猫を噛むとはよく言ったものだ。
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