婚約破棄は構いませんが、後ろ盾をなくした皇太子がどうなるかご存知? ~を、ループする~【短編】
 3年も続く不作で追い詰められていた国民たちは団結した。
 そうして、瞬く間に王都を落とし、王城を占拠した。
 まず初めに、王族は殺された。
 次に貴族も殺せと民衆は叫んだ。
 ……そして、王族に近い貴族から殺されることになった。
 筆頭は、今、ギロチン台にいる。
 頭を固定され、民衆の怒りの声にさらされている。
 皇太子の婚約者の公爵令嬢。
 そう、私だ。
 ディオーヌ・エリーゼ……17歳にして、ギロチン台で首をはねられて、息絶える。
 どこで間違ったのか。
 何がいけなかったのか。
 アンドリューの婚約者になって王妃教育を受けなければ第二王子の婚約者にも選ばれることが無かったのか。
 いいや、違う、そうじゃない。
 アンドリューの婚約者がたとえ別の人になったとしても、革命は起きたんじゃないだろうか。
 そして、ギロチン台に登る順番こそ違えど、同じような運命をたどったのだろう。
 愚かなアンドリューのせいで……。
 王室も、貴族も、皆命を奪われる。
 ……本当にそうなの?
 本当に、アンドリューだけのせいなの?
 え?誰の、声?
 少しだけ視線を上げたのと、ギロチンの刃が私の首をはねたのはほぼ同時だった。

 ……。
 ……。

 気が付けば、なぜか時間がまき戻っていた。
 いいえ、単に今まで夢を見ていたのかもしれない。
 どちらか分からないけれど……。
 私と婚約破棄してもよろしいの?大変な目にあうのは貴方なのに?なんて少しだけ、あの時思った自分がいる。
 浮気した馬鹿が苦労したって自業自得よと、報告を受けて胸がスカッとした自分がいる。
 その先に、何が起きるかなんて考えもしなかった。
 貴族は皆殺しだ……という民衆の言葉に、アンドリューのせいでと、あの時の私は恨みでいっぱいになった。
 でも……貴族の何百倍もの人の血がすでに流れていた。
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