訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜

その時
バンッ!と扉が開き

「シオリ!目覚めたか!」
「シオリ様!」
「お父様、ソル…」
「目覚めて良かった!おかえり、シオリ」
「おかえりなさい、シオリ様」
「ただいま」
「さて!皆が無事に戻った!新しい家族も増えた!
 祝おう!」

お父様とソルがご機嫌に部屋を出て行く

〔シオリ〕
「ん?」
〔我を受け入れた事により、お主に少しだけドラゴンの鱗がある〕
「え、…どこに?」
〔手首だ〕

見ると片方の手首に白い鱗が1周回ってる
月の光で綺麗に光ってる
ジ〜ッと眺めてると

〔…、すまぬ…。女(おなご)には酷なモノであったか…〕
「ううん、綺麗だなぁって」
〔…そうか〕

ゼルファはホッと安心した表情を見せ

〔それと、2人にも〕

ゼルファの手には、ドラゴンの牙が

「俺達にも?」
「いいのか?」
〔うむ 家族になった証だ
 身に付け方は好きにせよ
 それに応じて、コレも変化する〕

蓮が胸に近づけると、牙から銀色の糸が出て首に掛かる
紫音が指に近付けると、牙の形が崩れて指輪に

「「ありがとう」」

ゼルファはニカッと微笑む

〔うむ! そしてな、ソレを身に付けておれば大抵の動物の心が分かる!〕
「?」
「心って…?」
〔つまり、動物の思いが分かるのだ!言葉が理解出来ると言っても良い!〕
「!?マジか!?」
〔…まじか、とは?」
「本当に?って聞いてるんだよ」
〔ほう!では!…、マジだ!〕

…ゼルファと蓮達のやりとりを見てる間、ずっと気になってる事が

「…っていうか、ゼルファ…。何でそんなにテンション高いの…」
〔む!?てんしょんとは何だ!?」
「…、何でそんなに気分が高揚してるのって事」
「栞、気分じゃねぇんだ。これがコイツの元々の素らしい」

蓮によると
檻に閉じ込められるまでは、動物が側にいるだけでマトモな話し相手がおらず
人間なんかに砕けた口調も使う筈も無く…
私達は家族になったから、今まで我慢してた素の自分を解放しようって事らしい

〔ああ!ついでに言っておくと、シオリは我の力が使える様になっておる!〕
《…え?》
〔我を体に受け入れたのだ!それ位の恩恵はあるぞ!〕
《………》
〔よし!祝いの席へ招かれるとしよう!〕

こうして、ドラゴンのゼルファが新たな家族になった

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