訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜

紫音side
姉さんが光に包み込まれたけど、形が変わっていかない
光が消えたら

「…え」
「あ?」
「? 目線が変わってない、…失敗した」

姉さんが落ち込んでヘナヘナと座り込む

「「…」」

目を瞬き、茫然とする
ラルフが近寄り、姉さんの頰に鼻を擦り付ける

「ラルフ、ゴメンね。失敗しちゃった…」
〔いえ!とても可愛らしいです!〕
「? 可愛い?」
〔はい!〕

俺と蓮が固まってるのを余所にラルフは尻尾をブンッブンッ!と振って
姉さんに擦り寄ってる

〔ハハハハッ!半端な姿になってしまっておるのぅ!〕

ゼルファはスゴイ笑ってる
蓮をチラッと見れば、口元を隠してプルプル震えてる
ハッキリ言おう…
今の姉さんには、白い犬(狼)耳がある!
ネグリジェ(寝間着)で分かり辛いけど
お尻ら辺が膨らんでるから、きっと尻尾もある
失敗して落ち込んでる中、ゼルファから半端って言われたから耳がシュン…と垂れてる

俺達が何も言わないのをどう思ったのか

「蓮、紫音、…どう?」

姉さんが上目遣いで不安そうにコテン…と首を傾げる

「…、可愛いよ。姉さん」
「………だ」
「え?」
「…ムリだ」

蓮はボソッとそう言って

「レノ、フェニア」
〔〔はい(おう)〕〕

2人の精霊が出てきたところで、蓮が俺を見る
あ、はいはい…

「皆、今日はあっち(俺の部屋)で寝よ」

精霊はすんなりと部屋に行き

〔次は成功した姿が見てみたいぞ!〕

ゼルファも楽しそうに行った
俺は姉さんと離れたがらないラルフの首を引っ張りながら自室に入る

〔シオン!何をする!!〕
「…ラルフとレノは姉さんと感覚とかを共有してるんだっけ?」
〔それがどうした?〕
「明日まで、それを遮断するのって出来る?」
〔? 何故だ?〕
「いいから、出来る?」
〔可能ですよ、シオン様。ですが、何故その様な事を?〕
「…その方が姉さんにとっては、いい筈だから」
〔我が主にとって良い事なのか、ならばそうしよう〕

後は大人しく寝るだけだ

「蓮、程々にね…」

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