訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜

〔よお、俺様はサタン。悪魔って言やぁ分かるか?〕
「「「!?」」」

あ…、あく…ま…っ!?

〔そこの女が、お前が殺したい奴だろ〕
「ああ」
「「!?」」

俺と紫音は栞の前に出る

「栞は殺させねぇ!」
「姉さんを殺すんなら、俺達を先に殺してみろっ!」

サタンは顎を摩り

〔ん〜、今すぐに殺してもいいが…
 その女、何か気になるんだよなぁ〜〕

フ…とサタンが消える

「! どこにっ(ダァンッ!!)」

振り向けば、栞がサタンに壁に叩きつけられ首を絞められてる

「!? テメッ…!!」
「離せっ…!!」
〔煩ぇ、黙ってろ〕

ピタ…と体が動かない…っ
声すら出せねぇ…っ!

〔なあ、お前…〕
「…っぅ」

栞は顔を顰め、サタンの腕を掴む

〔お前、ホントに人間か?〕
「「!?」」
「…、ど…いう、意味…っ」
〔な〜んか、コイツ等とは何かが違ぇんだよなぁ〕

サタンは舌舐めずりし

〔お前、面白ぇな〕

サタンが栞の頭に手を翳す

〔…へ〜、お前色んな力持ってんだな〕

翳してる手に黒い光が

「…な、にを…っ」
〔お前を今殺すのは止めだ〕
「!? おい!?どういうつもりだっ!?」
〔慌てんな
 さっきのでお前の闇の魔力は覚えた
 今は殺さねぇでおいてやるから、いつか俺様を殺しに来い
 お前の本来の力を見せてみろ〕

サタンが栞から離れ、消えたと思ったら
アルの隣に移動してる
栞は喉を抑え、ズルズル…と座り込む

「ケホッ…!ケホッ…!ゴホッ…!」
「「栞( 姉さん)っ!!」」

栞に駆け寄ると、サタンはクロトさんを片手で抱え

〔コイツは人質だ
 俺に勝てれば、コイツの体も魂も返してやるよ
 だから、必ず来いよ?〕

サタンが上に手を翳すと、黒い霧が勢い良く天井を突き破る

〔とりあえず、この国は俺達が貰う〕

その手が俺達に向けられると、強い風で吹き飛ばされ
ダァンッ!と廊下の壁に叩きつけられた

「ぐ…ぁ…っ!」

悪魔がニヤッと笑ってるのが微かに見え、扉が閉まっていく
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