誘惑の延長線上、君を囲う。
「ビール好きだからね。夜の夕食は何が出るかな?」

「刺身食べたくない?夕食メニューとは別に、勝手に刺身の盛り合わせを二人前頼んだけど、良かった?」

「私も食べたい!マグロよりもホタテの刺身やイカの刺身が好きなんだよね」

「大丈夫だよ、そう思って、ちゃんと指定しておいたから」

私は酔っている時のたわいない話は覚えてないけれど、以前に言っていたのかな?

夕食は部屋出しで、地元の登板和牛ステーキなど、地元産の食材をふんだんに使ったメニュー。日下部君が別注文してくれた刺身は、氷で出来ている器に盛られてきて、非常に涼しげだった。

夕食時には地元産の冷酒を飲み、その後は、地ビールにした。地ビールは今回の旅行でお気に入りになったので、様々な種類の物を飲んでみたい。

「ご馳走様でした!お腹いっぱいだー」

夕食を思いっきり楽しみながら、味わって食べた。食べ過ぎと思える程に、お腹がパンパンになるまで食べてしまった。夕食の後片付けをして貰ってから、客室にある露天風呂へと入る。

日下部君も一緒に入るのかな?とは予測していたけれど、食べ過ぎて、少しだけぽっこりと出てしまったお腹を見られたくない。湯船の中では、日下部君に背中を向けて入っていた。

「今更、恥ずかしいも何もないだろ?こっち向いてよ」

日下部君に背後から抱きしめられる。昨日は抱き合わ無かった為、そわそわと心の中がざわめく。日下部君に触れられるのは嫌じゃなく、寧ろ、もっとして欲しい。日下部君の気持ちは手に入らないかもしれないけれど、身体は独占し続けている。

露天風呂の照明がダウンした明るさと月明かりの中、日下部君とキスを交わす。逆上せるくらいに何度も濃厚に深く、深く。貴方とこうして情熱的に抱き合った事、忘れないよ───……
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