誘惑の延長線上、君を囲う。
「琴葉、……琴葉!」
背後から右腕を捕まれ、そのまま捕獲される。先程よりも力強く抱きしめられ、逃げようとしても身動きが出来ない。泣き顔を見られたくないが、背後からも覗きこめば見えてしまうかもしれない。涙で化粧が落ちて、ぐじゃぐじゃな顔。止めたいのに溢れ出て、止まらない涙。もう、最悪だ。こんな見苦しい私を初めて、日下部君の前でさらけ出してしまった。
「自分で突き放したくせに、何泣いてんだよ?」
日下部君の困り果てた様な、弱々しい声が耳元で聞こえる。吐息が耳にかかり、その後に耳に唇が触れた。耳から首筋にかけて、触れるだけのキスを落とされる。くすぐったくてやめて欲しくて、咄嗟に後ろを振り向きそうになった時、唇を塞がれた。不覚にも息が出来ない程の荒々しいキスに腰が抜けそうになった。
怖い……。これ以上、日下部君に溺れたくない。
「今日、前の職場の先輩に会ったの。久しぶりに会ったんだけど、告白された……。付き合おうか……、迷ってる……」
唇を離された後、少しずつ言葉を絞り出した。日下部君との中途半端な間柄を続けるよりも、伊能さんとの将来を考えた方が幸せなのかもしれない。日下部君と一緒に居ると、どうしても秋葉さんを思い出してしまい、自分自身と比べてしまう。
「琴葉には俺が居るのに?」
日下部君はそう言い残し、私をその場に置き去りにして自分の部屋に消えた。見た事もないような、悲しげな表情だった。身体への脱力感があり、もう何もしたくなかったが気力を振り絞り、シャワーを浴びに行く。終始、泣きながら、シャワーを浴びる。ここならば、いくら泣いても誰にも気付かれない。嗚咽が出る程、泣きじゃくった。
背後から右腕を捕まれ、そのまま捕獲される。先程よりも力強く抱きしめられ、逃げようとしても身動きが出来ない。泣き顔を見られたくないが、背後からも覗きこめば見えてしまうかもしれない。涙で化粧が落ちて、ぐじゃぐじゃな顔。止めたいのに溢れ出て、止まらない涙。もう、最悪だ。こんな見苦しい私を初めて、日下部君の前でさらけ出してしまった。
「自分で突き放したくせに、何泣いてんだよ?」
日下部君の困り果てた様な、弱々しい声が耳元で聞こえる。吐息が耳にかかり、その後に耳に唇が触れた。耳から首筋にかけて、触れるだけのキスを落とされる。くすぐったくてやめて欲しくて、咄嗟に後ろを振り向きそうになった時、唇を塞がれた。不覚にも息が出来ない程の荒々しいキスに腰が抜けそうになった。
怖い……。これ以上、日下部君に溺れたくない。
「今日、前の職場の先輩に会ったの。久しぶりに会ったんだけど、告白された……。付き合おうか……、迷ってる……」
唇を離された後、少しずつ言葉を絞り出した。日下部君との中途半端な間柄を続けるよりも、伊能さんとの将来を考えた方が幸せなのかもしれない。日下部君と一緒に居ると、どうしても秋葉さんを思い出してしまい、自分自身と比べてしまう。
「琴葉には俺が居るのに?」
日下部君はそう言い残し、私をその場に置き去りにして自分の部屋に消えた。見た事もないような、悲しげな表情だった。身体への脱力感があり、もう何もしたくなかったが気力を振り絞り、シャワーを浴びに行く。終始、泣きながら、シャワーを浴びる。ここならば、いくら泣いても誰にも気付かれない。嗚咽が出る程、泣きじゃくった。