誘惑の延長線上、君を囲う。
大丈夫、きっと……大丈夫だよ、私なら。先を考えてしまうと涙が溢れそうになるが、じっと我慢する。

私も食器を片付けて、支度をした。支度が終わる頃、タイミング良くリビングに現れた日下部君。

「支度出来たか?」

私はゆっくりと頷く。その他はお互いに何も話さずに車に乗り込む。

「もうすぐクリスマスだな……。クリスマスはどうする?」

職場までの道のりはほぼ会話が無かったのだが、信号待ちの時にクリスマスの装飾を見て日下部君が突然言い出した。

どうする?とは……?

「琴葉の予定はある?友達とクリスマスパーティーとかするの?」

何故、そこは友達限定なの?

「パーティーはしない。……イブか当日のどちらかは出かけるかもしれないけど」

「そうか、予定分かったら教えて。クリスマスはどこかに行こう。イブは金曜だし、当日は土曜になるから」

日下部君に『前の職場の人に告白された』と伝えたのに、何にも気にしてないのか、クリスマスの誘いをしてくる。私が伊能さんとお付き合いしないと思ってる?日下部君が誘えば、私はホイホイ着いていくと思ってる?日下部君は好きだって言ってくれないくせに、ズルいよ。

「い、行けない。……というか、行かない。私には私の用事があるし、日下部君も他の女の子と一緒にい、」

『他の女の子と一緒に行ったら?』と言おうとしたが、途中で言葉を遮られた。
< 150 / 180 >

この作品をシェア

pagetop