誘惑の延長線上、君を囲う。
「俺はすっごくドキドキしてますけど、佐藤さんはしてないでしょ?」
コツン、と頭を触れる程度にぶつけた伊能さんは突然、そんな事を聞いてきた。こんなに顔が近いのに嫌じゃないのは伊能さんに嫌悪感が無いだけで、確かにドキドキはしない。試す様に聞いてきた伊能さんは、きっと何かに気付いている。
「先日の電話、男の人の声が漏れちゃってたんだ。佐藤さんは悩んでるんでしょ、その男の人の事を。何だか、そんな気がしてきた」
思わせぶりな態度をして、私は伊能さんを傷付けている。感の良い伊能さんは全てをお見通しの様だった。
「率直に聞くね。佐藤さんはその人の事、好きなんでしょ?隠さなくて良いよ」
パッとくっつけていた額を離し、ニコッと笑った伊能さんが痛々しく見えた。
「本当に馬鹿だよね、俺。佐藤さんがクリスマスは俺の所に来てくれるって思い込んじゃって、プレゼントまで用意しちゃってさ……。こんなだから、元カノにも振られるんだよなぁ……」
私が口を開く間もなく、伊能さんは元カノの事を話し出した。元カノさんは大学時代の同級生で、中々結婚に踏み切らずにいた伊能さんは振られたらしい。その理由が、元カノさんが職場で管理職になったばかりで仕事に打ち込んでいたので結婚を切り出すのを躊躇っていたそうだ。しかし、早々に結婚をしたかった元カノさんと喧嘩になり、喧嘩別れになってしまったらしい。
コツン、と頭を触れる程度にぶつけた伊能さんは突然、そんな事を聞いてきた。こんなに顔が近いのに嫌じゃないのは伊能さんに嫌悪感が無いだけで、確かにドキドキはしない。試す様に聞いてきた伊能さんは、きっと何かに気付いている。
「先日の電話、男の人の声が漏れちゃってたんだ。佐藤さんは悩んでるんでしょ、その男の人の事を。何だか、そんな気がしてきた」
思わせぶりな態度をして、私は伊能さんを傷付けている。感の良い伊能さんは全てをお見通しの様だった。
「率直に聞くね。佐藤さんはその人の事、好きなんでしょ?隠さなくて良いよ」
パッとくっつけていた額を離し、ニコッと笑った伊能さんが痛々しく見えた。
「本当に馬鹿だよね、俺。佐藤さんがクリスマスは俺の所に来てくれるって思い込んじゃって、プレゼントまで用意しちゃってさ……。こんなだから、元カノにも振られるんだよなぁ……」
私が口を開く間もなく、伊能さんは元カノの事を話し出した。元カノさんは大学時代の同級生で、中々結婚に踏み切らずにいた伊能さんは振られたらしい。その理由が、元カノさんが職場で管理職になったばかりで仕事に打ち込んでいたので結婚を切り出すのを躊躇っていたそうだ。しかし、早々に結婚をしたかった元カノさんと喧嘩になり、喧嘩別れになってしまったらしい。