誘惑の延長線上、君を囲う。
日下部君に連行されたまま、空き部屋だった部屋に入る。初めて入った。部屋に入るとゆっくりとベッドに降ろされた。

もっとエッチなイメージがあったけれど、清潔感はあるし、可愛い小物に溢れている。ボタニカルっぽいアジアンなイメージの部屋で、癒しのグリーンも飾ってあり、籐で編んである家具も素敵。ベッドも天蓋付きでお姫様になった気分だ。

「私、初めてラブホに入ったよ。案外、可愛いんだね」

「うん……」

日下部君がバスルームに向かったので、辺りを見渡してみる。ガラスのテーブルの下に置かれている籐で編んであるカゴの中には、エッチなチャンネルの雑誌と日記みたいのが置いてあった。ドキドキしながら開いて見てみる。

こっそりとしばらく眺めていたら、腰にバスタオルを巻いて上半身が裸で濡れた髪の日下部君が現れて、「こんなの見なくて良いから」と取り上げられる。

見た事がないから興味本位だったんだけどな。彼氏と一緒に見るものでもないか。

「琴葉、見てみたいの?」

「え?あ、違うんだけど……、どんなかな?って思って……」

日下部君に指摘されたら、急に恥ずかしさが増してきた。

「ふうん?まぁ、いいや。風呂に行こう」
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