誘惑の延長線上、君を囲う。
「テレビ見る?」

日下部君はテレビのスイッチを入れた途端、女性の甘ったるい声が響き渡り、画面には上半身が裸の女性と服を着ている男性が映し出されていた。

「わ、ち、違うチャンネルにす、」

「見たかったんでしょ?琴葉ちゃんは、こーゆうの。見ていいよ」

「み、見たくない!け、消すから!」

クスクスと意地悪そうに笑う日下部君を余所に私はテレビの主電源を消した。びっくりした!いきなり、何なの!更に鼓動が早くなり、ドキドキが止まらない。

「見たくないなら、同じ事をしてあげるよ。好きだよ、琴葉」

伸ばされた指が敏感な部分に触れて、私は逃れられなくなる。のぼせる程に愛されて、ベッドに行く頃には身体に熱がこもっていた。「ちょっと休憩」と言って、浴槽から上がった日下部君はバスローブを羽織った私の髪の毛を乾かす。

少しは火照りが解消されたけれど、お酒を沢山飲んでいるせいもあって、水が飲みたくなった。冷蔵庫に備え付けてあった水をゴクゴクと勢い良く飲む。日下部君が俺にも欲しいと言ったので、新しい水のペットボトルを手渡す。既に三分の一は水を飲んでしまったのに、もっと飲みたくなる。

「お酒も飲んでるし、お風呂でのぼせたのか、もっとお水が飲みたくなるね」

ペットボトルを手にベッドに腰掛けると、日下部君に押し倒された。のぼせ気味な私をクールダウンさせる為に、口移しで与えられた水は渇いた喉を潤していく。

「誰にも聞こえないから、沢山、声を聞かせて」

ゆっくりとバスローブの紐を解かれ、下着を身につけていない白い肌が露になった。散々、バスルームでも日下部君に甘い刺激を与えられたのに、触れられると直ぐに反応してしまい、耐えらずにつま先でシーツを掴むように足をくねらせる。

全身にキスの嵐を受けて、今まで抱かれたよりも激しく丁寧に愛された夜だった。
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