誘惑の延長線上、君を囲う。
「おはよう、琴葉」

「お、おはよう……」

日下部君に沢山愛されて、疲労感があって身体がダルい。昨日は裸のままで寝てしまったみたいだ。赤い蕾が身体中に散らばっている。日下部君は先に起きて着替えを済ませたようだった。ベッドの上で、スマホゲームをしている。

「風呂のお湯を入れといたから、朝風呂入って来たら?」

「ありがとう。じゃあ、入って来るね」

サイドテーブルに畳んで置かれていたガウンを羽織り、バスルームで再び脱いだ。全身を洗って、ついでに歯磨きもする。「ふぁぁっ」と大きな欠伸が出て、身体はまだ眠り足りないみたい。

湯船につかり、ジャクジーのボタンを押すとポコポコと泡が沢山出てきた。朝から贅沢な感じだなぁ……と思い、深めに座って眠気を覚ますようにリラックスしながら入っているとドアの開く音がした。

「く、日下部君?」

「せっかくだから、広々とした風呂に琴葉と一緒に入りたい」

「昨日も一緒に入ったでしょ!」

日下部君は聞いてないふりをして、シャワーで身体を流した後に湯船の中に入ってきた。イレギュラーな出来事に身を縮こまらせて、隅に寄る。
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