誘惑の延長線上、君を囲う。
「バカッ……!日下部君にも恥ずかしい思いをさせてやる!」

「出来るならどうぞ、はい、いいよ、して」

斜め上から見下ろされ、首筋を私にアピールしてくる日下部君が憎たらしい。

「二人共、痕をつけてたら余計に恥ずかしいでしょ!」

「何だ、残念……!」

焦っている私に対して、クスクスと余裕たっぷりに笑う日下部君。日下部君は私をからかっては面白がっている。

その後はコンビニで朝昼兼用のご飯を買って、帰宅した。ショートボブにしてしまったので、髪の毛をおろして隠すわけにもいかない。困り果てた私を見て、日下部君は通りすがったショップでボリューミーな大判マフラーを買ってくれた。好みの色で、青系がグラデーションになっている。通勤やお出かけにも沢山使おうと思う。

ご飯をもぐもぐと食べていると、日下部君のスマホが鳴った。

「琴葉、有澄がパーティーしようって言ってるんだけど……行く?」

「あ、うん。行ってみたい!」

詳しい内容は分からないが、きっと秋葉さん達も来るだろう。約束した女子会もまだ出来てないから、いつやるのかも決めなきゃ。

秋葉さんに会っても、もう後ろめたくはないから。大丈夫、気分を盛り上げて行こう!

電話を切った後、日下部君は夕方から出かけると言った。いざ、出かける事になって洋服を選んでいると……背後から、「それを着て行くの?」と聞かれた。

そうだった、首元隠さなきゃいけないからハイネックとかにしなきゃいけないんだった!相変わらず、私を見てはからかって楽しんでいるので、いつか仕返ししてやろうと心に誓った。
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